花順路

新聞を配る順に
読者名簿を作る
それを見ながら 歩いて覚える
自転車から おりて
路地裏の ポストの位置を
しっかりと 覚える

白い家の生垣の 赤いポスト
名簿の横に 目印を書き入れる
私の順路帳には
椿 ばら 桜 花の名前がつづく
転宅していった家の いちぢくの木
団地の階段のつばめの巣
赤と黄のまじりあったおしろい花を見つけ
配達を忘れ しばしかがみこむ

小暗い 梅雨の朝
くちなしが匂っている
あじさいのまりが小さくなり
白いむくげが咲きはじめた路を
花順路にそって ペダルをこいで行く





目次へ
次の詩
前の詩